介護用品:必要なものとは
介護用品探しは「何が必要か」で決まります。
介護用品と言っても、数多くの商品があるため、いざ介護が必要となってもどういったものを取り揃えればよいか、わからないものだと思います。
コマーシャルなどで「大人用おむつ」なども放送されているので、ご家族の健康状態に合わせて必要でしょうし、歩行用の杖や、室内の歩行器、もしくはシルバーカー(手押し車)のようなものも必要かもしれません。
家では電動ベッドでリクライニングができた方が楽でしょうし、ベッドには体を起して食事できるようにテーブルも必要になってきます。
介護前から不要なものまで購入するのを防ぐために、現段階で確認が必要な項目をリストアップしてみてはいかがでしょうか。
・介護される方の健康状態。(歩行できるか、トイレは行けるか、など)
・介護する側が作業が楽になるもの。
・介護するご家族の役割分担。(担当別に必要なものを聞いても良いと思います。)
・朝から夜までの行動パターンを考え、都度必要なものを考える。
・今現在家にあるもので利用できるものは利用する。
・介護保険制度を利用してレンタルや購入費の補助が受けられるものを利用する。
次に介護される方の健康状態別に必要なものを紹介します。
介護される方が歩行できる場合
介護される方が一人での歩行ができても、高齢な場合は視力が弱まっていたり、瞬時に反応することが難しい場合があるので、転倒によるケガや骨折などを防ぐ視点から考えてください。
■ベッド
→こちらは通常のベッドでかまいません。今現在あるのであれば新しく買い替える必要はありませんが、ベッドサイドに落下防止用の柵や、つかまり立ちができるような太めのパイプでできたものがあれば設置しておくとよいでしょう。
予算に余裕があれば、リクライニングなどで腰に負担がからないようにできる電動ベッドなども検討してみてください。
■トイレ
→通常のトイレで問題ありませんが、和式の場合には洋式への変更、もしくは、和式の便器の上にかぶせるように設置できる便座などを検討してください。
また、可能であれば、トイレのカベにつかまれるパイプがあると、より動作が楽になります。
■行動
→歩行の際に利用する杖や、足腰に負担のかからない工夫が施されている、高齢者用の靴、シルバーカー(手押し車)も場合によっては必要になります。
杖もステッキタイプのシンプルなものから、地面に着く部分が3つ、4つに分かれた足のついている安定感のあるものまであります。
■お風呂
→お風呂は介護に限らず高齢者には毒になる要素が比較的多くあります。
冬の急な温度差で体調を悪くする恐れもありますし、濡れた床で足をとられてしまう場合もあります。
予防の意味でも、シャワーチェアや足ふきマットはすべりにくいものを選ぶようにしましょう。
また今現在利用しようしているものを使う場合でも、すべり止めマットを利用するなどの工夫が必要です。
お風呂にもつかまるためのパイプがあるとよいですが、こちらは濡れていてもグリップ力を感じさせてくれるもの方が安心です。
暖房器具などは水がはねることを想定した場所への設置を心掛けてください。
介護される方が歩きにくい場合
外出する際に付き添いなどが必要で、家では何かにつかまりながらの歩行などができ、生活にあまり支障をきたさない程度に活動できる方には、あまり過保護も筋力面から考えるとよくないので、自立支援という形でサポートできるものを選びましょう。
■ベッド
→通常のベッド、または介護する方が手動でリクライニングできるもの、予算に余裕があれば、電動でもよいのですが、こちらも通常ベッドで寝起きできるのであれば、負担にならない運動程度に寝起きしてもらって、場合に応じてリクライニングを利用するまでにとどめておいた方が良いでしょう。
■トイレ
→通常のトイレで和式の場合には前述の洋式、もしくは補助便座を設置してください。
また、歩きにくい、起き上がりにくいことが予想されるので手すりなどが必要になってきます。
■行動
→シルバーカーのようなものではなく、歩行器。シンプルなステッキタイプの杖ではなく4点足のある杖。
場合に応じて車いすを用意します。
■お風呂
→すべらない足ふきマット、手すり、大き目のシャワーチェア。
介護される方が歩行できない場合
ベッドから車いすで移動される方、または椅子に座ることはできるけど歩行は難しいかたには、それでも少しの動作が運動につながり、筋力の維持につながるので寝たきりを防ぐ介護用品を選ぶようにします。
■ベッド
→電動ベッド、もしくは手動でリクライニングが可能なベッド。
寝ている時間が長いので床ずれ防止のマットや、衛生的に保つためのグッズが必要です。
■トイレ
→洋式、または部屋に置いておけるポータブルトイレ。
ポータブルのトイレの場合は衛生面や臭いなどの環境面にも配慮したグッズを選びます。
■行動
→歩行器、車いすを用意します。
また、ベッドから車いすに移動する際に、いったんつかまっておいてもらう安定感のあるパイプも検討してください。
■お風呂
→バスリフト、お風呂に移動するために必要な器具。座っている状態を保てるようであれば、大き目のシャワーチェアか、浴室用のイスを用意してください。
すべり止めのマット以外にも介護する方の安全も考えて、脱衣場も動きやすい工夫が必要です。
介護される方が寝たきりの場合
寝たきりの場合で、寝返りなども難しい場合は特に床ずれに配慮します。
また部屋の空調などにも気を配り、汗をかきすぎない工夫も必要です。
■ベッド
→電動ベッド。床ずれを防止するグッズ。
■トイレ
→尿器、差し込み便器など、こまめにケアできるようにしておきます。
また衛生面や環境面に配慮して、居住空間はいつも清潔にしておいてください。
■行動
→車いす。
介護する側の作業負担は多くなるため、作業面でサポートできるグッズも検討しておいてください。
■お風呂
→清拭タオル、清拭料、ドライシャンプー。ウェットティッシュなども代用できますが、回数を利用して皮膚を傷めない素材、成分のものを利用してください。
また、タオルにおいても可能な限り、肌触りの良い物の方が良いでしょう。
介護用品:ベッドの選び方
介護用ベッドとは
介護用のベッドは、電動ベッドなどがありますが、イメージとしては背もたれとなるようにリクライニングするベッドがあります。
今では介護用ベッドも多種多様なものがあり、価格にも幅があります。
介護用ベッドの役割は「寝たきりにしないこと」です。
体が不自由であっても、床ずれを防ぐ意味でも、少しでも動くように促すのが良い介護と言えるでしょう。
介護用ベッドの種類
介護用ベッドの種類は主に、どう動くかで振り分けられます。
機能として「背上げ」(背もたれとなるリクライニング)、「上げ下げ:高さ調整」(ベッドの高さを上下できる)、「膝上げ」(下半分が盛り上がり、膝を曲げやすいようにする)の3つのパタンがあります。
これが起きる時、座る時、立ち上がる時に介護する側される側の補助となり、毎日の動作の負担を軽減します。
予算に余裕があれば、全機能を兼ね備えたものを用意してください。
介護用ベッド:3つの機能別メリット
「背上げ」機能のメリット
・リクライニングにより、背もたれを起こして、起き上がり動作を助けられる。
・本などの読み物やテレビが見やすい角度への調整。
・食事する際にたべもの誤嚥(気管などへのたべものつまり)を防ぐことができます。
・起こすことによって、周囲の環境を確認できるので、生活意識が増し、活動しやすくなります。
・通常のベッドでは、介護する側が腕などを介護される方の背中に回して行う動作がいらないくなるので、作業の負担が軽減されます。
・血圧が高い方など、ゆっくり上体を起こす必要がある場合などに重宝します。
「上げ下げ」機能のメリット
・立ち上がる際に足のつきやすい高さに調整することができ、動作を楽に行えるように補助します。
・着替える際にベッドに少し座る場合も、姿勢を安定させ、転倒などのけがを防止します。
・車いすを利用している場合にはベッドから車いす、車いすからベッドへ移動する際、低めにすることで動作を楽にします。
介護用ベッドからの落下
・寝る時に低くしておくことで、万が一ベッドから落下した場合や、トイレなどに移動する際の転倒などを防止します。
・介護する方の動作や身長などに高さを合わせると、作業の負担を軽減できます。
膝上げ機能のメリット
・背上げを行う場合に、下方へ体が流れてしまうのを防げます。
・背上げ機能と連動して膝上げが行われると、腰への負担や腹部への圧迫を軽減することができます。
・背上げ機能を利用した場合に、膝を自然な程度上げておくことで、乾燥しがちな高齢者の皮膚への負担を軽減し、血流の流れをよくします。これにより、腕や足などのむくみを軽減することができます。
「上げ下げ」もしくは「背上げ」メインの
1つのモーターベッド
「背上げ」
1つのモーターで背上げを補助します。
起き上がる際や、食事の際に角度を調整して利用できます。
1モーターの場合、膝の部分は手動で(横から見て)三角に折り曲げられるものもあります。
高さ調整は数段階ごとに調整するもので、固定化されています。
「上げ下げ」
1つのモーターでベッドの高さを上下に上げ下げできます。
介護する側とお話しする際には上げて、介護される側が立ち上がる際には足をつきやすいところまで調整して、というように利用します。
1つのモーターベッドの特色
リモコンのボタン操作で、上げ下げの調整を操作することができます。
立ち上がる際につかまり立ちができ、歩行可能な方、自立して活動できる方におすめできます。
ベッドによっては背上げに連動して膝部分が上がる「背膝連動」機能があるものもあるので
購入前に確認してください。
「背上げ」「膝上げ」、もしくは「上げ下げ」ができる
2つのモーターベッド
「背上げ」+「膝上げ」ができる2つのモーターベッド
2つのモーターで背上げと膝上げができます。
起きあがる際に、体勢の補助や調整を行うことが可能です。
高さ調整は数段階ごとに調整するもので、固定化されています。
「背上げ」+「上げ下げ」ができる2つのモーターベッド
2つのモーターで背上げと上げ下げの調整が可能です。
起き上がりの補助や食事しやすい体勢、立ち上げる際に足をつきやすい高さに上げ下げすることが可能です。
膝上げの部分は手動、もしくは介護する方の補助が必要となります。
2つのモーターベッドの特色
リモコンのボタンの操作で背上げや膝上げ、上げ下げが可能となり、1つのモーター式と違い、機能が増えるので、「背上げ」や「膝上げ」、「上げ下げ」の機能を個別に操作できます。
腰や首、など間接を曲げる動作に不安がある方にはおすすめします。
「背上げ」「膝上げ」「上げ下げ」が可能となる
3つのモーターベッド
3つのモーターで背上げと膝上げ、上げ下げが可能となります。
・介護する側とお話しされる際や、作業しやすい高さに上げることができます。
・介護される側が、起きやすい体勢への調整、食事しやすい角度への調整が可能です。
・立ち上がる際に足がつきやすいように全機能を利用できます。
3つのモーターベッドの特色
リモコンの操作で「背上げ」「膝上げ」「上げ下げ」が調整できます。
個別に調整できるもので、細かい調整が可能なものを選びたいところです。
段階的に固定となると、微妙な高さへのストレスもありますので、購入する前に、ぜひ確認したい点でもあります。
介護用品:トイレの選び方
介護の問題と切っては切れない関係が「排泄」に関するトイレの問題です。
要介護のレベルに上昇によって、トイレの介助に関して、負担が多くなります。
人間の生活の中で、食事や入浴など、どちらかというと介護する側が時間を決めて行う作業と違い、トイレはどうしても「もよおす」ものですから、個人個人でタイミングは違います。
また、介護する側の負担だけではなく、介護される側も恥ずかしさや申し訳なさなどを感じ、我慢してしまい体調を崩してしまうというパターンも少なくありません。
トイレの介護については、介護レベルと合わせて、高齢になるにつれ足腰の筋力が弱まってきて、転倒などの危険性も出てきます。
介護する側は作業や後始末などの負担、介護される側は申し訳なさや移動への不安などがあり、少しでも両者の負担を軽減できるように問題解決に向けて検討したい問題です。
ポータブルトイレという選択
ポータブルトイレの導入の前に今一度考えないといけない点として、介護の大前提は「寝たきりにしない」点があることを忘れないでください。
ポータブルトイレまでの移動と通常のトイレまでの移動、または現在の運動機能などを加味して検討した上で、「通常のトイレではダメな理由」があるから、ポータブルトイレを選択する、という根拠を持たせるようにしてください。
ポータブルトイレ設置前のチェック項目
・歩行に不安があり、トイレまでの移動距離が長い。
⇒トイレを近くに設置したり、移動の方法を変更して解決できるかどうか検討してください。
・夜の移動が不安、階段や段差による転倒や部屋の狭さでトイレの介助がしにくい
⇒バリアフリーの状態へのリフォーム、人センサー付き照明や手すりの設置で解決できそうか検討してください。
・オムツを利用する場合に併用したい。
⇒筋力の維持などを目標として、ポータブルトイレのみではない方法も検討してみてください。(時間がない時はポータブルトイレ、介助可能な場合は普通のトイレなど)
ポータブルトイレの導入により、介護される側にとって、筋力などの健康状態を後退させるものとなってはいけません。
導入前によく各ポータブルトイレの特色を理解して導入するようにしてください。
介護用ポータブルトイレの種類
介護用のポータブルトイレには大きく分けて4つの種類があります。
・標準型:プラスチック製
・木製イス型
・金属コモード型
・スチール製ベッドサイト設置型
設置場所や介護される方の運動能力などに合わせた形で選ぶことが重要になります。
標準型:プラスチック製のメリットとデメリット
標準型のメリット
・空の場合、重量が軽いため持ち運びが便利。
・単純構造のため、清掃が楽。
標準型のデメリット
・座る部分の下が通常の洋式便器と違い、奥にくびれていない(フラット)ので立ち上がりが不便。
・空の場合、軽量さが災いして不安定。
上記のことから、比較的立つ動作や座る動作に不安のない方に適しています。
また体のサイズによって、利用できない方や、手足の動作不安により、バランスが不安定になる方にはむいていません。
補助器具としては、立ち上がりの際のパイプや手すりがあると良いでしょう。
木製いす型のメリットとデメリット
木製いす型のメリット
・据え置き型にするのであれば、重量があるので安定しやすい。
・木製の質感があるので、部屋の家具と合いやすい。
木製いす型のデメリット
・標準型より大きいタイプが多いので、設置するための広さを確保する必要がある。
・重量があるため、移動が不便。清掃時も構造によっては手間がかかる。
比較的歩行に不安があったり、座った時のバランスが悪い方でも、安定感があるので利用が可能だと思われます。
自然の木材を利用しているので、傷みやすいのが難点です。
金属製コモード型のメリットとデメリット
金属製コモード型のメリット
・座る面の高さが簡単に調整できるため、使用する方に合わせて利用可能。
・通常型と違い、パイプ椅子のような形状のため、立ち上がりやすい。
・簡単な構造なので、清掃が容易。
金属製コモード型のデメリット
・部屋の家具などと合いにくい。
比較的歩行に不安がある方でも、車いすやベッドからの横移動ができるのであれば、利用できると思われます。
スチール製ベッドサイド設置型のメリットとデメリット
スチール製ベッドサイド設置型のメリット
・ベッドの横に設置ができるので、利用する際の移動が楽。
スチール製ベッドサイド設置型のデメリット
・移動するためのキャスターがついているもの、重量があるため頻繁には移動しにくい。
歩行が難しい方でも、ベッドの横に置いておけるので比較的容易に導入が可能。
また介護ベッドの高さとトイレの座る部分の高さを合わせておくことが重要で、構造によりひざ掛けアームが短い方をベッド側にしてください。
介護用品:シルバーカー(手押し車)の選び方
シルバーカー(手押し)とは
街でよくご老人が荷物を入れた小さいベビーカーのような車輪付きのを押して歩いているのが、「シルバーカー」と呼ばれるものです。
これは特に歩行に不安がなくても、足腰が弱く、膝や腰などのへの負担を軽減するために利用されています。
買い物などの外出時に利用され、ステッキなどの杖よりも安定感があるので、多くの高齢者の方に重宝されています。
シルバーカーは基本的に自立歩行が可能な方が利用できる器具になります。
また種類も様々で、歩行のみを優先させた軽量のものから、長時間の歩行が難しい方用に、一休みできるように座れるイス付きタイプもあります。
注意点としては、体の周りを取り囲んで「歩行」を補助する歩行器と違って、シルバーカーは自立歩行が可能で、杖よりも安定した器具を希望されている方が利用できる点です。
ご自身の用途に合わせてシルバーカーの種類などを検討してください。
シルバーカーの種類
・スタンダードなボックスタイプ
歩行時の安定感が一番高く、イス付きのボックス内の容量も多いです。
イスの面も広く、一休みするにはぴったりのシルバーカーです。
・ミドルタイプ
ちょっとした買い物などに便利なイス付きのシルバーカーです。
ボックスタイプほど大きくないので、お散歩などにも最適です。
・コンパクトタイプ
軽量で持ち運びも可能な、コンパクトなシルバーカーです。
外出時、電車や車への持ち込みなどにも適していて、ボックスタイプほど横幅が広くないので、人通りが多い道や、道幅が狭い場所でも利用できます。
・ワゴン・アルミカータイプ
容量が一番多く、荷物を運ぶのに適しています。
ただ重い荷物などは積み過ぎないように注意が必要です。
アルミ製のものが多いので、カバーが布製のものと違って、汚れなどはサッとふき取ることができます。
介助用車いすの選び方
自走用車いすと介助用車いすの違い
車いすは大きく分けて2種類あります。通常、車いすというと、足をけがした際に利用する「自走用車いす」を思い浮かべると思います。
これは後輪が大きく、タイヤの横にハンドリムと呼ばれる取っ手がついていて、乗っている人が自分で回して走行するものです。
このサイトでは介護に関係した商品にスポットをあていますので、「介助用車いす」の詳細をお知らせします。
介助用車いすは、自走用に比べてタイヤが小さく、介護される方が後ろから押して走行します。
介助用車いすは、タイヤが小さいので軽量となっており、持ち運びが容易です。
介護の場合、移動先で車いすを利用する場合があるので、車の積み込みにも便利だと思います。
また、昔はそうそう見かけなかったですが、「電動車いす」なども普及しているので、検討材料の一つにできると思います。
車いすを選ぶポイント
座る部分の幅
座る方のサイズは様々ですが、標準的な車いすの場合、座る部分の幅は40センチです。
ぴったしになるよりかは、5センチ程度余裕をみて、広めのサイズを選ぶことが重要です。
座る部分の奥行き
こちらも座る部分の標準的な奥行きは40センチになっています。
深く座ってみた時に、膝の部分よりや短くなるぐらいが、適正サイズになります。
背もたれの高さ
こちらも標準的な背もたれの高さは40センチになっています。
肩の下の肩甲骨の下部分に触れるぐらいがちょうどい高さとなります。
ひじ掛けの高さ
肩がすぼまらず、落ちすぎず、ゆったりと曲げられる高さで良いと思います。
座る面の高さ
座る面の高さ(前座高)は膝の下の部分に合わせるようにします。
折り畳みのタイプと同様に43センチくらいが良い高さです。
介助用車いすの種類
車いすには大きく分けて2種類ありますが、介助用車いすと呼ばれるものを種類分けすると、3種類程度になります。
・標準型介助用車いす
・姿勢調整型車いす(ティルト、リクライニング式車いす)
・電動車いす、電動四輪車
標準型介助用車いす
特徴
標準型の介助用車いすは、外出や通院やお散歩など、移動する場合は介護する方が行うための車いすです。
そのため、自走式の車いすと違って、後輪に取っ手(ハンドリム)がついていません。
商品によっては、腕をひじ掛けから下に下げた時、後輪にあたらないようにするために、後輪を小さくしているものもあります。
ブレーキの位置は、自転車のように手押しするグリップの下についていたり、後輪の後方についている場合があります。
自走式の車いすにも、介助用の補助ブレーキがついているものもあるので、介護される方がご自身で走行できそうな場合は良いと思います。
選び方
介護される方の健康面、筋力面などを考慮した時に、自走式の車いすの補助ブレーキで補えるか、自走が望まれない場合などあると思います。
介護される方の要望もあると思いますが、介護する側の使い安さ、移動の目的と内容(車から出し入れする、散歩用など)も加味して検討することも重要です。
ひじ掛けの部分が上に跳ね上がるタイプや取り外せるものもあるので、ベッドからの移動や、車へ乗り込む際に役立つと思います。
また、車いすによっては、よくダイニングチェアなどにありますが座る面だけが回転してイス自体を動かさなくても移動しやすいものがありますが、車いすに搭載されている場合もあります。
長時間利用する場合には、厚みのあるクッションタイプを選ぶ必要があり、ちょっとした移動のみや、通院の際に車から出し入れするような場合には、折りたみやすく軽量なものを選ぶとよいでしょう。
実際に選ぶ場合には、介護する側の視点だけではなく、自分が乗るとしたらどれが良いか、もし自分が腰痛があったら、足の筋力が弱まっていたら、という介護されている方の健康状態を想定して、車いす選びをしてください。
姿勢調整型車いす(ティルト、リクライニング式車いす)
特徴
姿勢調整型車いすというのは、標準型の介助用車いすではおしりの部分が前に滑ってしまったり、上半身が横に傾いてしまうような、姿勢を調整してあげる必要のある方に利用します。
シート全体を傾けることができる機能を「ティルト機構」といいます。上半身が傾いてしまう場合にはこの機能があるかどうか確認してください。
姿勢調整型の車いすはサポートクッションや、背もたれの調整などにより、実際乗る方のバランスに合わせることが可能となる車いすです。
選び方
姿勢調整型車いすの場合には、介護される方が現在通常のイスに座っていられるかどうかなどが検討材料になると思います。
重心が横に流れていくようだったり、お尻が前にすべってしまいそうな場合には、通常の介助用車いすより、姿勢調整型の車いすの方がよいでしょう。
姿勢調整型の場合、イメージでいうとハンモックのように、体全体をゆだねるような形で利用できるので、角がついたイス型のものより、楽な姿勢がとれると思います。
電動車いす、電動四輪車、電動カート、シニアカー
特徴
呼び名はさまざまありますが、こちらでは「電動車いす」で説明します。
電動車いすというのは、バッテリーを搭載した車いすで、電力によって走行できる車いすのことを言います。
電動車いすには、規定が設けられており、長さ120センチ、幅70センチ、高さ109センチ以内に収めることがサイズの規定です。
速度については最高6キロと定められているので、ゆっくり歩く歩行者と同じぐらいでしょうか。
交通ルールとしても、歩行者としてみなされることになるので、歩道を走行できます。
バイクなどのように取り回しができなくても4輪で安定感があり、重量も80キロ程度あるので、横転するなどの危険性は少ないと思われます。
一回の充電でおよそ5時間の走行が可能で、距離として実に30キロ程度走行できます。
用途として、近場での買い物や、通院する際に利用され、3キロ圏内の移動に重宝されています。
以前は街中であまり見かけることがなかったですが、最近は日本工業規格によって電動車いすのしっかりした基準が定められたので、大手企業が参入する分野になりました。
日本では、スズキやホンダというメーカーが生産しており、基準に基づいて操作方法や仕様なども標準化されています。
選び方
電動車いすは、上半身などの筋力に不安があっても、操作自体ができれば問題なく利用できます。
選び方としてはまず、通常の車いすを選ぶように、座っている状態を保てるかどうかと、健康状態、要介護のレベルなどを加味して検討します。
利用できるようであれば、使用する目的や内容(屋外か屋内か、など)を上げてみて、最適なものを選択したいところです。
また、電動車いすの乗り降りに介助が必要な場合や比較的自分で乗車できる場合なども、検討材料の一つとなると思います。
自分で乗車できない場合などは屋外での使用は心配な場合もあると思いますので、販売店などで専門家に相談されることをおすめします。